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ロケットストーブ

ロケットストーブの原理・材料・作り方



ロケットストーブとは、少ない燃料で高温燃焼する構造を持つストーブです。
高温で燃焼するため可燃性ガスも二次燃焼し、煙もあまり出ません。
身近な材料で自作できることから今回制作しました。
東日本大震災をきっかけに注目が高まったことから日頃用及び災害用として重宝すると思います。

原理(図解)

ロケットストーブ原理

材料と工具
ロケットストーブ煙突部分


ロケットストーブ煙突部分(106φステンレス煙突部品3種)やアルミ耐熱テープはホームセンター等で簡単に入手可能です。
又、ペール缶の内部に断熱材として入れるパーライト(50ℓ)は園芸コーナーで売られています。
その他にペール缶(300φ360H:20ℓ)はガソリンスタンドや工場等で貰ってきます。


工具類はマジック、スケール、充電式ドライバー(鉄工用ドリルキリ数本)、マイナス(-)ドライバー、ハンマー、金切りハサミ(小)(中)程度です。
尚、当初ペール缶の穴開けにサンダー等の電動工具が必要と思われましたが、金切りハサミやマイナスドライバーで簡単に開けることが出来ますので必要としませんでした。

ロケットストーブ制作材料と工具

制作工程

作業時はケガをしないよう切創防止手袋の着用を強く推奨します。

①煙突部品3種を繫ぎ合わせて全体的な縦の長さを記録します。
②上のペール缶(以下:上の缶)の上蓋をマイナスドライバーでこじ開け外します。下蓋はマイナスドライバーでちょっとこじ開け、金切りハサミで少し切り込みを入れると簡単に外れます。外した上下の蓋は再使用しますので丁寧に外して下さい。
③下のペール缶(以下:下の缶)の上部蓋を同様に外します。
④上の缶と下の缶のラップ代を50mm位及び煙突の最上部が上の缶より10~20mm飛び出る位の位置を確認し①で記録した長さと比較し、下の缶の側面に開ける穴の位置を決めます(中心点)
尚、中心点の誤差は、煙突を固定する時修正可能ですので多少の狂いが生じても問題ありません。
⑤決めた中心点から直径110mmの円をマジックで記入します。
⑥中心点に充電式ドライバーで穴を開けます。(最初の穴は小さな歯のドリルで次第に大きく)
⑦穴に金切りハサミの先端を挿入し、円の外側迄切ります。約30度毎同様に切っていきます。(中心から円の外周迄全部で12か所位切り込みを入れる)
⑧切って出来た三角形を内側に折り込みます。
ペール缶の穴開け参考図
参考:ペール缶を切った場所は違いますが、こんな感じで穴あけします。


⑨下のペール缶に組み立てた煙突を入れてみます。この時煙突の繫ぎ目は耐熱テープで固定したものを入れます。
ペール缶に煙突を組み込んだ図

⑩上の缶を本体に連結する為に上下ペール缶のラップ代を約50mm程確保し重ね、更に煙突の上部が上の缶蓋から10~20mmとなるよう左右前後(合計4か所)に穴を開ける場所を決めマーク、小さなドリルキリから穴開け、最終的にはM6ボルト×ナット(4組)が入るよう穴開けし固定します。
ペール缶上部蓋の煙突上部が出る穴も上記同様作成します。
⑪上の缶と下の缶繫ぎ部分の内側に耐熱テープを貼った後、パーライトを缶の中にぎっしり入れます。(ペール缶をトントン揺さぶり缶上部まで目一杯入れます)
パーライト挿入
⑫缶の上部に蓋をします。蓋のフチにマイナスドライバーを入れ閉じ、ハンマーで缶に密着させ周りを固定します。蓋の面がちょっと低くなっているので上の缶で外した下蓋を乗せます。その上に五徳を乗せて完成です。
尚、上の缶の取っ手のプラスチックは缶が熱くなると溶けて変形するので缶から浮かせるよう工夫します。(写真では見えませんが、ブリキの切れ端を缶にあてがいプラスチックが缶に直接当たらないようにしました)
ロケットストーブ完成前注意事項
⑬完成した正面から見た写真です。
ロケットストーブ完成
如何ですか?材料さえ揃えば、製作は半日程度で完成出来ます。



燃焼試験

①焚口に小枝と丸めた新聞紙や杉枝を挿入し着火させます。
ロケットストーブ着火
②更に小枝を挿入し火を大きくします。
火力増加
③そのまま放置しても煙突に火が回らなかった為、焚口に口からの空気を2~3回吹き込んでみました。又、上昇気流が発生する迄焚口から多少の煙が発生します。
上昇気流発生し成功

④上昇気流が発生(ちょっとヒュー音発生)し、火口から炎が舞い上がり大成功です。
この状態になれば後は焚口に小枝を追加していくだけで燃焼し続けます。煙は殆ど発生しませんでした。
焚き終わった灰の量が非常に少なくビックリしました。

尚、この状態で1時間ほど燃焼させました。
A:問題点として、焚口の缶が非常に熱くなり触れただけで火傷する。
B:焚口には大きな薪等挿入出来ないのでこまめに焚口に入る程度の枝しか挿入できない。

Bはロケットストーブの性質上仕方ないのでAについて下記改良を加えました。


ちょっと改良品

①焚口の煙突に直接手が触れないよう廻りを囲むことにしました。
②近くに有ったブリキの煎餅缶(9ℓ被せ缶:235×235×180H)が大きさ的にちょーどマッチしたので、焚口と灰の排出口を囲むように取付ました。(焚口と灰排出口だけの露出)
③煎餅缶と本体の隙間には別のブリキ板を適当に切って貼り合わせました。
④煎餅缶の中にはパーライトを出来るだけ詰め込みました。
見栄えはちょっとですが、これで熱い所に触らずにすみます。

再試験

改良ロケットストーブの試験
折角なのでサツマイモを煮てみました。
改良ロケットストーブでサツマイモ煮える
Aの問題点は解決され、触っても火傷をするような温度までは上がりません。
そして、水が沸騰してから約1時間サツマイモを煮込み、見事に完成です。
しかし新たな問題点Cが発生:五徳に乗せたなべ底にススが結構付着しました。
Cの原因は焚口からの酸素不足による不完全燃焼と思われますが、対処法を思いつかないので保留としました。
(小枝をどんどん投入したことにより火力が強くなりすぎ、鍋底迄炎が回った為?)
まあ、使い終わった鍋をその都度洗えば解決かな。

これでアウトドアの楽しみがちょっと増しました。
災害はあって欲しくありませんが、いざと言う時には威力を発揮するものと思います。
尚、くれぐれもロケットストーブの運転は屋外で実施下さい。

2020/1追加

製作から約1年使用したところで、煙突に穴があき断熱材であるパーライトが煙突になだれ込む事態となってしまいました。
やはり普通の煙突では高熱に耐えられなくなったようです。
燃焼回数にして10~20回位だったと思います。

そこで修理に入りました。
ロケットストーブ最上部の蓋を外し、パーライトを抜き内部確認しました。
ロケットストーブ内部確認

106φステンレス半直筒及びエビ曲90度が熱で溶けていました(下図の上側)
近くのホームセンターで耐熱型SUS煙突を購入(下図の下側:2点で約4千円)
尚、T曲(掃除口蓋付)との接合部は被害を受けていなかった為、そのまま使用可能と判断しました。

耐熱SUS煙突

耐熱型煙突を組み込んだものが下図です。
耐熱煙突の組込


断熱材であるパーライトを缶内に戻し、最上部の蓋をセットで完成です。
完成品と壊れた煙突

早速燃焼試験です。
ロケットストーブ燃焼試験
1時間半ほどサツマイモを煮ながら試験してみました。
その結果、順調です。更にロケットストーブ側面のペール缶に触れても、前より高温にならなくなったように思います。(体感50~60度)
当面は様子見しながらこれで運転していきます。
参考になれば幸いです。





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